発注漏れを防ぐために、今すぐやるべき3つのこと

「あれ、これ発注したっけ……?」
棚が空になってから発注漏れに気づき、慌てて仕入れ先に電話したことはありませんか。
発注漏れは、注意力ではなく仕組みで防げます。
本記事では、発注漏れを防ぐために今すぐやるべき3つのことと、チェックをAIに任せる方法を紹介します。
発注漏れが起きやすい5つの事例
発注漏れが起きやすいのは、確認と発注を別の人がしている、依頼が埋もれる、担当者が休む、発注の記録がない、締め切りがバラバラ、の5つです。
この記事では、2店舗を構える雑貨店を例に考えます(架空の例です)。発注は店長と事務の2人が担当し、仕入れ先は6社あります。
5つの事例に共通するのは、「発注したかどうか」を担当者本人しか知らないことです。ここを仕組みにすれば、誰が担当しても同じように発注できます。
確認する人と発注する人が違う
在庫を確認したスタッフが「洗剤が残り3つです」と店長に伝えても、店長が事務に伝える前に接客に呼ばれれば、話はそこで止まってしまいます。伝えた側は「もう伝えた」、聞いた側は「誰かが発注するだろう」と考えるからです。
間に入る人が増えるほど、どこで止まったのかもわからなくなります。欠品してから、3人に聞いて回ることになりがちです。
LINEや口頭の依頼が埋もれる
スタッフから「レジ袋が少ないです」とLINEで届いても、ほかの連絡に埋もれて、1時間もすると、もう見返さなくなります。立ち話で頼まれた「あとで発注しておいて」は、そもそもどこにも残りません。
発注表に書き写す前に、依頼は簡単に消えてしまいます。雑貨店の例でも、スタッフからの依頼はほとんどがLINEか立ち話です。
担当者が休むと発注が止まる
「いつ、どの仕入れ先に、何個発注するか」を店長しか知らないと、店長が休んだ日は誰も発注できません。発注のやり方が店長の頭の中にしかなく、ほかの人が見られる形になっていないからです。
たとえば店長が3連休を取ると、休み明けに締め切りを2回過ぎていた、ということもあります。休む前に引き継ぎメモを書くのも、担当者にとっては負担です。
発注の記録がない
FAXやメールで発注したあと発注表に記録しないと、ほかの人は発注済みかどうかを確認できません。本人でさえ、3日もたてば「たぶん発注したはず」としか言えなくなります。
確認できないので、念のためもう一度発注して、二重発注になることもあります。発注漏れと二重発注は、同じ原因から起きています。
締め切りが仕入れ先ごとに違う
A社は前日15時、B社は当日10時、C社は週2回だけ。このように締め切りがバラバラだと、全部を覚えておくのは大変です。仕入れ先が6社あれば、締め切りは1週間で十数回になります。
忙しい日に1回でも締め切りを過ぎると、次の配送まで2〜3日待つことになります。売れ筋の商品なら、その間に棚が空いてしまいます。
発注漏れは「記録・ルール・チェック」で防げる
人の注意やダブルチェックには限界があります。記録とルールは人が決め、チェックはAIに任せると、うっかりによる発注漏れを防げます。
5つの事例は、どれも担当者が覚えていることを前提に回っています。覚えておくことを記録とルールに置きかえ、チェックをAIに任せれば、忙しい日や担当者が休んだ日も発注漏れを防げます。
注意だけでは防げない理由
「次から気をつけます」と言っても、忙しい時期になると、また同じ発注漏れが起きます。忙しい日や疲れている日は、どれだけ慎重な人でも見落とすからです。
2人で確認するダブルチェックも、お互いに「相手が見ているはず」と思い込み、形だけになりがちです。人の目だけに頼らない考え方は、メール誤送信を防ぐ手順でも紹介しています。
チェックをAIに任せる理由
人がチェックすると、その人が忙しい日や休んだ日に抜けてしまいます。AIは疲れることも休むこともなく、毎回同じ基準で、仕入れ先ごとの締め切りに合わせて確認できます。
たとえば6社の締め切りが1週間に十数回あっても、AIなら、決まった時刻に毎回確認できます。人は、AIから届いた通知を見て発注するだけです。
まずは今日から人がチェックを始め、流れが決まったらAIに任せます。始め方は次の章、AIへの任せ方はその次の章で紹介します。
発注漏れを防ぐ、今すぐできる3つの仕組み
発注を1か所に記録し、品目ごとに発注日か発注点を決め、締め切り前にチェックします。チェックは、最初は人が行います。
どれも新しいシステムは必要ありません。雑貨店の例なら、店長と事務で30分ほど話し合えば、3つのルールを決められます。
発注を1か所に記録する
発注したら、その場で発注表に「日付・仕入れ先・品目・数量・発注した人」を記録します。FAXやメールで発注した内容が1か所にまとまれば、誰でも発注済みかどうかを確認でき、あとでAIにチェックを任せるときの土台にもなるからです。
LINEや口頭で受けた依頼も、受けた人が発注表の「依頼」欄に書くルールにします。発注表をExcelで作るなら、空欄を色で目立たせる方法をエクセルの手入力ミスを減らす方法で紹介しています。
発注日か発注点を決める
発注のタイミングは、品目ごとに発注日か発注点のどちらかで決めます。発注日(定期発注)は、「毎週月曜に発注する」のように曜日で決める方法です。発注点は、「残り5個になったら発注する」のように在庫の数で決める方法です。
毎週同じくらい売れる消耗品は発注日、売れ行きに波がある商品は発注点が向いています。ルールが書き出してあれば、担当者が休んだ日もほかの人が同じように発注でき、AIもそのルールをもとにチェックできます。
締め切り前にチェックする
締め切りの2時間前に発注表を見て、「今日発注するはずの品目が発注されているか」を確認します。AIに任せるまでは、発注する本人とは別の人をチェック担当に決めます。
仕入れ先ごとの締め切りは、次のような表にして発注表の隣に貼っておきます。
| 仕入れ先 | 締め切り | 発注する日 | チェック担当 |
|---|---|---|---|
| A社(日用品) | 前日15時 | 月・木 | 事務 |
| B社(文具) | 当日10時 | 毎日 | 店長 |
| C社(雑貨) | 前日12時 | 火・金 | 事務 |
人のチェックは1回5分ほどで終わりますが、チェック担当が忙しい日や休んだ日には抜けてしまいます。この表がそのまま、AIにチェックを任せるときのルールになります。
発注漏れのチェックはAIに任せられる
締め切り前に、AIが発注表を確認して発注漏れを知らせます。人は通知を見て発注するだけなので、うっかりによる見落としを防げます。
ここでは、AIがチェック役としてできることを、締め切り前の通知、依頼の記録、発注数の目安の3つに分けて紹介します。
締め切り前に発注漏れを知らせる
AIは、発注表と締め切りの表を照らし合わせ、締め切りが近いのに発注されていない品目を見つけて、担当者のLINEやメールに知らせます。発注の記録がたまれば、「毎週この曜日に発注している品目」も読み取れるので、ルールに書き忘れた品目の発注漏れも知らせられます。
「A社の締め切りまであと2時間です。いつも発注しているコピー用紙がまだ発注されていません」といった通知が届くイメージです。今週は発注しなくてよい品目なら、そのままにしておけば問題ありません。
LINEやメールの依頼を記録に入れる
スタッフからのLINEや社内メールをAIが読み取り、「品目・数量・依頼した人」の形で発注表の依頼欄に追加します。人が書き写す手間が減り、書き忘れも防ぎやすくなります。
たとえば「レジ袋のMサイズがあと1束です」というLINEなら、品目と残りの数、依頼した人を読み取って依頼欄に追加します。追加した依頼もチェックの対象になるため、発注されないまま埋もれにくくなります。
発注数の目安も出せる
AIは、過去の売上や出荷のデータから、曜日や季節による売れ行きの違いを読み取ります(需要予測)。そのうえで、品目ごとに「今週はこのくらい」という発注数の目安を出せます。
「何個発注するか」が担当者の勘に頼ったままだと、多すぎれば過剰在庫、少なすぎれば欠品になります。目安があれば、店長が休んだ日も、事務が同じ根拠で発注できます。
小売業の事例:作業時間が月40時間減
Mawaasが支援した小売業の会社では、在庫を紙とExcelで管理し、発注は担当者の経験に頼っていました。QRコードで在庫を管理し、AIが需要を予測して発注の目安を出す仕組みにしたことで、作業時間が月40時間減りました。
担当者が変わっても、同じように発注できるようになっています。この仕組みにかかった費用は、AI導入費用の目安と予算の決め方で紹介しています。
AIに任せず人が判断すること
AIのチェックと目安は、いつもどおりの発注が前提です。新商品、セールや天候、仕入れ先の都合、特注や大口の注文は、人が判断します。
AIは過去の記録とルールをもとに確認するため、いつもと違うことには気づけません。最後に発注するのは人であり、いつもと違う週は人が目安を調整して発注数を決めます。
場面ごとに、AIに任せることと人が判断することを分けると、次のようになります。
| 場面 | AIに任せること | 人が判断すること |
|---|---|---|
| いつもの週 | 発注漏れのチェック・発注数の目安 | 通知と目安を見て発注する |
| 新商品 | 似た商品の売れ行きを示す | 最初の発注数 |
| セール・地域の行事・天候 | 前年の同じ時期を示す | どれだけ増やすか |
| 仕入れ先の欠品・値上げ | なし | 別の仕入れ先や代わりの商品 |
| 特注・大口の注文 | なし | 数量と納期 |
AIにチェックを任せ始めてから1〜2週間は、人のチェックも続けて、AIの通知が正しいかを確かめます。通知の漏れや間違いがなければ、人のチェックをやめてAIに任せます。
発注漏れをなくす3ステップ
1週間の発注を書き出し、仕入れ先1社から仕組みを始め、慣れたらチェックをAIに任せます。
最初からすべての仕入れ先で始める必要はありません。1社でうまく回ることを確かめてから広げたほうが、ルールが現場に定着します。
1週間の発注を書き出す
まずは1週間、「誰が・いつ・どの仕入れ先に・何を発注したか」と、受けた依頼を書き出します。書き出してみると、どこを担当者の頭の中や口頭のやり取りに頼っているかが見えてきます。
この記事の5つの事例のうち、どれが一番多かったかも数えておくと、直すべきところがはっきりします。
仕入れ先1社から始める
書き出した中で、発注漏れが一番多かった仕入れ先1社から、記録・ルール・チェックの3つを始めます。対象を絞れば、発注表の書き方やルールの使いにくいところをすぐに直せます。
2〜3週間続けて発注漏れがなくなったら、ほかの仕入れ先にも同じやり方を広げます。
AIにチェックを任せる
記録とルールが回り始めたら、発注表と締め切りの表をAIにつなぎ、まず仕入れ先1社分のチェックをAIに任せます。1〜2週間は人のチェックと並べ、通知が正しければ、ほかの仕入れ先のチェックもAIに移します。
発注数の目安は、チェックが安定してから、売れ筋の10品目ほどで試すと始めやすくなります。発注以外の業務にもAIを広げたいときは、AI導入で最初にやる4つのことも参考にしてください。
こんなときはMawaasにご相談ください
この記事で紹介した仕組みは、自社でも始められます。次のような場合は、相談すると早く進みます。
- 発注漏れのチェックをAIに任せたい
- LINEやメールの依頼が多く、記録をまとめる仕組みがほしい
- 発注数を、勘ではなく過去の売上から決めたい
相談は無料で、仕組みは月額5万円からです。Mawaasは中小企業向けに、AIのコンサルから伴走支援、開発までを1社で行っています。
まとめ:まずは発注の記録を1か所にまとめよう
発注漏れは、担当者の注意力ではなく、「発注したかどうか」を本人しか知らないことから起きます。発注と依頼を1か所に記録し、発注日か発注点を決め、締め切り前にチェックすれば、システムがなくても発注漏れは減らせます。
そのうえでチェックをAIに任せれば、忙しい日や担当者が休んだ日も、うっかりによる発注漏れを防げます。請求書のミスも同じ考え方で防げるので、請求書ミスを防ぐ5つの仕組みもあわせてご覧ください。
よくある質問
小さな会社でも発注の仕組みは必要ですか?
必要です。仕入れ先が数社でも、発注を1か所に記録し、締め切り前にチェックするだけで発注漏れは減らせます。AIにチェックを任せるのは、仕組みが回り始めてからで十分です。
Excelのままでも発注漏れは防げますか?
防げます。発注の記録、発注日や発注点のルール、未記入の欄を色で目立たせる設定までは、Excelでできます。Excelの発注表をそのまま使って、AIにチェックを任せることもできます。
二重発注も防げますか?
防げます。発注を1か所に記録しておけば、発注する前に「もう発注済みか」を誰でも確認できます。発注漏れと二重発注は、どちらも記録がないことが原因です。
AIにチェックを任せきりにして大丈夫ですか?
いつもどおりの発注のチェックなら任せられます。ただし、最後に発注するのは人です。AIに任せ始めてから1〜2週間は人のチェックも続け、通知が正しいかを確かめてから任せます。新商品やセールなど、いつもと違う発注は人が判断します。
AIで発注漏れをチェックする仕組みは、いくらかかりますか?
Mawaasでは月額5万円からです。支援した小売業の事例では、在庫と発注の管理を月額5万円で仕組み化しました。品目の数や発注表の形によっては、初期費用がかかる場合もあります。費用の内訳はAI導入費用の目安と予算の決め方で紹介しています。